Pardubice Racecourse 10

 Velka Pardubickáまではあと2レース。もう少しお付き合いください。第6レースは"Cena společnosti VCES a.s. – Cena Labe"。6歳以上で距離は5200メートル。ついに格付けはNational Listedを越えてListedです。Velká Pardubickáは前哨戦(Qualification Race)若しくは一定距離以上のSteeplechase競走における出走権の獲得は必要なのですが、このレースにはそのような出走条件はありません。日本の障害競走にはVelká Pardubickáの出走権の獲得に必要となる距離を満たすSteeplechase競走は存在しませんので、すなわちこのレースはオジュウチョウサンでも出走できます。平地参戦とかいう意味不明なことをやっていてだいぶ頭に来ているので赤字で書きました。賞金額は70万コルナ(約330万円)。中山グランドジャンプと比べると1着賞金は40分の1ですが、チェコ障害競走としては高い方。この日の準メイン競走ですね。

 このレース、距離は5200メートルとけっこうな長距離を走る一方で、年齢制限はVelká Pardubickáと同じく6歳以上と設定されています。Velká Pardubickáには6歳馬は殆どおらず、このレースはどちらかというと若い馬や、Velká Pardubickáに対しては距離適性や相手関係といった不安がまだ残る馬が入り混じるメンバー構成となるようです。また、Velká Pardubickáは春の段階で仮登録を行い、その後Qualification Raceで完走することで出走権利を得ますが、仮登録を行わずにQualification Raceで好走できた上り馬や、Qualification Raceは落馬に終わった等、様々な事情でこちらに回ってくるようです。従って、立ち位置としては来年にはVelká Pardubickáを目指すような上り馬を見つけるようなレースとなります。

 昨年はフランスからUnbrin De L'Isle、Neflier、Sarikaと3頭の参戦馬を集めたのですが、今年はあいにくそのような参戦馬はありませんでした。人気はLombarginiから。Velká Pardubickáでも人気を集めるだろうTheophilosなど強力なメンバーが集まっていた"Cena Peruána"の3着馬です。

 返し馬が始まります。例によって障害を見せたのち、障害飛越を行う返し馬。日本では身体をほぐしつつ障害を見せるのみですが、イギリス・アイルランドを除くヨーロッパでは一般的なやり方です。

 このレースでもIrská lavice(Irish Bank)を逆方向に越えます。うーむ遠い。それにしてもOfficial Photographerの数よ。上手いことあそこに紛れ込めないものですかね。

 生垣障害を越える各馬。手前の馬(Taras)は若干ミスしています。

 レースは逃げたLodgian Whistleがそのまま勝利しました。まだ6歳と若い馬で、あまりPardubiceのCross Countryへの参戦歴は少ないようで。写真は数少ないうまくピントが合ったもの。ご覧の通り、立見席にはしばしばお子様タワーが聳え立ち、オートフォーカス氏が混乱します。パパにおんぶされて見た競馬、幼少期の記憶に残るといいですね。ちなみにレース映像を見てわかるように、各馬が直線に向くと場内からは拍手が沸き起こります。勝ち馬から30秒以上遅れてゴールしたVernoisまで温かな拍手が送られていました。

 さて、Velká Pardubickáまであと残すは1レース。"Poplerův memoriál skupiny Profireal Group"。5歳以上のNational Listed、距離は3300メートルです。3300メートルという距離はチェコSteeplechase Cross Countryにおいては最も短いカテゴリーであり、このレースは3000メートルクラスの中では最も価値のあるものとなります。写真は人気になっていたTiara Man。3000メートルクラスを主に使っている強豪です。それにしても日差しが強くて美人が白飛びしててつらい。

 対抗角のMedic。Tiara ManはDropが苦手なところがあるのですが、6月のČervnová cross country VálečníkaではTiara ManがDropにてミスをしたところ、Medicが一気に加速を掛けることでそのまま逃げ切るというレースを見せました。この馬もまた3000メートルクラスを専門につかう馬。

 レースが始まります。この距離のスタート地点はやや特殊。それにしても、やはり3000メートルクラスだと前半から激しく流れます。

 スタンド前のDrop。Tiara Manは今回はここでミスをせず。

 Velký vodní příkop(Big Water Jump)の辺りからMedicが一気に動くも、最終障害を越えて先頭に立ったTiara Manが勝利しました。このレースは昨年に続けて連覇。Crystal Crossはよく追うも、最後まで差は詰まりませんでした。Tiara Manはしばらくこの路線で活躍してくれそうな印象です。


Pardubice Racecourse 9                                          Velká Pardubická 1