Pardubice Racecourse 3

 さて、第2レース。レースカードには"proutěné překážky"と書いてありますが、様子にHurdle競走です。距離は3200メートル。このレースは4th category、要するにイギリスでいうクラス〇〇、みたいなものです。この国はレーティングで斤量が決まる仕組みになっているようで、例えばここにTzigane De Berlaisが出走することも可能ですが、その代わりレーティングはここに出走している馬と比較すれば遥かに高いため、がっつりハンデは背負うことになるとのこと。写真はNiki Rayという馬。母のNikaskaは2015年のVelká Pardubickáにて一位入線も失格となった悲運の名馬Nikasの姉で、Niki Rayはその姪になります。Nikasは再度のVelká Pardubická勝利を目指して13歳となった昨年まで現役を続け、3回(現役では通算7回)のVelká Pardubickáに出走しましたが、ついにVelká Pardubickáを勝つことはできず。晩年のパフォーマンスは全盛期のものとは程追いものでしたが、全盛期はとにかくガッツ溢れる走りを見せてくれる馬でした。Niki Rayは今回が初出走で、なんだかあどけない表情をしていますが、どうでしょうか。いまいちパドックはお行儀が悪かったのですが。

 こちらはGontchar。2016年のČeské Derby (G3)の勝ち馬。チェコはパートⅢ国ですので、ダービーはG3扱いですね。チェコは普通にダービー勝ち馬が障害を走る国です。

 レースが始まります。何故第1レースでわざわざ最終コーナーの辺りに陣取っていたかというと、ちょうどその辺りに最終障害が設置されるから下見しておきたかったという理由。見ての通り比較的小型の障害を使用します。ニュージーランドのHurdleに似ていますが、上部にもさもさがけっこうしっかりとついているのが大きな違いかもしれません。なおNiki Rayは第2障害の手前で馬が飛越を拒否、早々にリタイアしていた悲しみ。

 レースは人気のGolden Ireneが勝利しました。平地では9勝を上げている7歳牝馬。大きなレースでの勝ち鞍はありませんが、無事是名馬というやつです。Gontcharは4着。2回目のProutkyでしたが、いまいちぱっとしないレースに終わりました。

 さて、休む暇なく第3レースです。今度は1st categoryの3歳戦。チェコはさすが障害競馬に関しては強い国、年齢別のレースも数多く行われています。総賞金も150000コルナ(約71万円)と、先ほどのレースに比べると大きく跳ね上がります。

 人気はBenjaminとFirst of Allが分け合う形。こちらがBenjamin。ポーランドの障害競走を含む2連勝でここに挑んできました。チェコ調教馬のポーランド遠征は非常に頻繁に行われており、ポーランドの障害競走ではその半数近くをチェコ調教馬が占めます。イギリス・アイルランド・フランスといった障害競馬大国を除くヨーロッパ各国で猛威を振るうチェコ調教馬ですが、ポーランドも例外ではなく、多数のチェコ調教馬が勝利を上げています。

 こちらはFirst of All。チェコSlušovice競馬場で2連勝を飾った馬です。

 なんだか妙にフォトジェニックな馬がやってきました。Christianoという馬で、2016年のVelká Pardubickáの勝ち馬Charme Lookの弟です。Charme Lookは淡々とした先行策が武器であった馬で、すでに故障で引退しているとのこと。Christiano自身、Proutkyはここまで2戦して未勝利。なんとか先に繋がるレースができればよいのですが。

 レースが始まります。今度はゴールの辺りに陣取ってみるテスト。馬は日本のように内埒ぴったりというよりは、むしろ障害が設置されている場所の関係でスタンドから近いところをぞろぞろと走るので、ぼやぼやしていると一瞬で通り過ぎていきます。写真はFirst of AllとJan Faltejsek騎手。チェコのトップジョッキーの一人ですね。イタリア、ポーランド、チェコ辺りの障害競走を見ている人なら一度は名前を聞いたことがあると思います。イギリスで騎乗する機会もあり、Cleeve Hurdle (G2)ではKnockara Beauで大穴をあけた実績もあります。当時はBig Buck'sをはじめ、錚々たるメンバーが出ていたのですが、完全に実績的に格下のKnockara Beauが逃げ切ったとき、Cheltenham競馬場は一体どのような雰囲気に包まれたのでしょうか。

 とはいえこのレースで勝利したのはBenjaminとThomas Boyer騎手。First of Allは2着。Christianoは4着まで。

 ちょうどゴールラインの脇には馬道が存在し、馬はここを通ってパドックへと出入りします。物凄く混雑しているというわけではないですが、やはり人だかりができますね。ぞろぞろとレースを終えた馬が帰ってきます。悲喜こもごもな関係者。それにしてもとにかくこの競馬場、馬との距離が物凄く近いです。100-400mmレンズを持っていると、あまりにも近すぎて上のような写真になります。バカでかいバズーカを持っている人がほとんどいないのはこのせいかもしれません。

 せっかくなのでChristianoさんギャラリー。


Pardubice Racecourse 2                                  Pardubice Racecourse 4