Pardubice Racecourse 8

 さて、ここからは怒涛のNational Listed祭りが始まります。チェコ障害競走は年齢や性別に応じた限定競走が数多く実施されているほか、距離によっても異なる路線が存在します。Velká Pardubickáで有名なこの日の開催ですが、実はチェコSteeplechase Cross Countryの全ての路線におけるチャンピオンを決定するレースが行われる開催でもあるのです。もっとも、賞金額・場内の盛り上がりともに、Velká Pardubickáが頭一つ抜けていますが。第2レースは"Cena firmy Chládek a Tintěra, Pardubice a.s. Cena Laty Brandisové"。4歳以上の牝馬限定戦、距離は4200メートルです。チェコSteeplechase Cross Countryは3000メートルから6900メートルと幅広い距離を走りますが、実はそのほとんどが3000~4000メートル台。5000メートル台はVelká PardubickáのQualification Raceをはじめ、わずかに行われるのみです。従って、4200メートルという距離はチェコ障害競走としては一般的な距離になります。写真は人気になっていたSinndarka。今年の8月に行われた牝馬限定の第2カテゴリー戦である"Cena města Pardubic – cena Registany"を13馬身差でぶっちぎってきた、どちらかというと上り馬的な印象です。

 Velká Pardubická Dayの牝馬限定戦ということもあり、馬を曳く人もひときわお洒落。写真はRideri Crossという馬です。第3カテゴリーの牝馬限定戦を勝った馬で、どちらかというと連下候補くらいの前評判。

 真っ赤なジャケットの女性がひときわ目を引くのがStearling A Win。堅実に走る馬ですが、ここまで未勝利。ここでも最低人気でした。

 お兄さんもお洒落にスーツでキメます。こちらはAlegoriaという馬。ポップロック産駒。ポップロックやタイガーカフェの産駒はちらほら見ることが出来ます。大きなレースを勝った馬はまだ少ないようですが、いつかVelká Pardubickáにも出走馬を送り込んで欲しいですね。

 なお、関係者はお洒落な装いをしてくる人が多いのですが、観客はぶっちゃけ普段着。もちろんお祭りですのでお洒落してくる人もいますし、高価なエリアは知りません。しかし、概ねこの競馬場にドレスコードなんてありません。よほど非常識な格好でもしない限りはつまみ出されないのではないでしょうか。ほとんどの人が特にドレスコードなんて気にせずにやってくる日本の競馬場と比べると、ロイヤルアスコットや凱旋門賞のようなお洒落な雰囲気はどうしても日本競馬ファンにとっては憧れるものですが、個人的にはこれくらい長閑な方が居心地がいいので好きだったり。

 レースはいきなりCarry The GloryとRideri Crossの2頭が落馬するアクシデントからのスタート。Carry The Gloryは馬群について行きますが、Rideri Crossは元気いっぱいスタンド前を駆け抜けて行きました。早くおうちに帰りたかったのでしょうか。わかるぞその気持ち。働きたくないもんな。われわれのーせいぎのためにー(CV双葉杏)。レースはSilkが引っ張ります。

 スタンド前を駆け抜けていくRideri Cross。スタンドからは拍手喝采。気持ちはスターダム。

 レースはそのままSilkが逃げ切り勝ちを収めました。写真は後ろを振り返るJan Kratochvíl騎手。2017年の同レースはIzynkaの2着だったのですが、嬉しい勝利となりました。今年で8歳となる牝馬ですので、どこまで現役を続けるかはわかりませんが、長く無事に頑張って欲しいところ。

 休む間もなく第3レースです。"Cena Kudy z nudy – Cena ČASCH"、4歳馬限定のNational Listed、距離は4200メートル。人気になっていたのがJan Faltejsek騎手の騎乗するKominik。

 こちらは対抗角のCosmic Magic。チェコ調教馬ですが、ポーランドSteeplechaseに参戦していました。ポーランドSteeplechaseのこの世代では頂点に君臨する馬。前走のPardubice競馬場の4歳限定戦では1位入線も失格になっていましたが、巻き返しを狙います。

 タイガーカフェ産駒のSochi。前走はCosmic Magicの繰り上がりで2着に入っていましたが、前評判としては高くなかった模様。それよりお姉さんの右腕の怪我の方が気になります。

 レースが始まります。スタートからSochiが出てきて、やや後続に距離を取りながら引っ張る展開。隊列はやや長くなります。しかし森の向こうのSteeplechase Courseから内側に入るところで、SochiのPavel Složil騎手はコースを間違えて競争中止。ついでにSochiに釣られたThomas Boyer騎手のMotivも競争中止となります。いずれもPardubice競馬場での経験は豊富な騎手ですが、時々こういうこともあります。

 レースは途中から先頭に立ったShentがCosmic Magicを抑えて勝利しました。Steeplechase Cross Countryはここまで未経験、これまではイタリアSiepiを使って全くいいところがないという馬で、当然の如く最低人気。馬券は大波乱という結果になりました。


Pardubice Racecourse 7                                  Pardubice Racecourse 9