Pardubice Racecourse 7

 さて、いよいよVelká Pardubická当日。土曜日とは打って変わって、Pardubice競馬場は大賑わい。土曜日からたくさん出ていた屋台も今日が本番とでも言わんばかりに頑張ります。開門は11時。日本の競馬場と比べるとずいぶんゆっくりですね。開門ダッシュがあるかどうかは知りませんが、よほど最前列で地蔵と化すのでもなければ、わざわざダッシュしてまでいい位置を取る必要はないと思います。ちなみに場所取りは基本的にいないので、その辺りは自己責任で。第一レースの前にはコース上に設置されたお立ち台で国歌斉唱があったりします。

 ちなみに、チケットとレースカードは入り口付近の売店で売っています。概ね英語は通じるのですが、それなりに混雑するのと、人によって英語の技量にはそこそこ差があります。なので英語が通じるかは微妙に怪しい部分があるので頑張りましょう。わたしはレースカードだけを買うつもりがチケットまで買わされそうになりました。同行人が助けてくれましたが。レースカードだけゲットするのであれば、土曜日のうちから日曜日分まで買っておくのがお勧め。なぜなら売店のおばちゃんに余裕があるから。

 この日は土曜日とは異なり、座席指定のチケットを買っていました。上記の通り当日直接行っても立見チケットは買えるようですが、ゆっくりとレースを見るのであれば事前に座席指定券を買っておいた方がいいでしょう。座席と言っても、エリアDの場合は横長の椅子に等間隔で番号が書かれ、自分の番号の場所に座る程度のもので、隣にデブが来ると人権はなくなります。ついでにお値段はそれなりに張りますし、かなり前から購入しておく必要がありそうですが。いちおうスタンドの入り口には係員がいて、通行人のチケットをチェックしています。とはいえ係員はちゃんとチェックする気がないらしく、チケットをチェックされたのは一度きりでした。写真はエリアDの最前列からの光景。中央に二本の背の高い木が見えますね。この2本の木の間に存在するのが、あの名高いVelký Taxisův příkop / Taxis Jump。実はこの障害、スタンドから見ると間に色々と視界を遮るものがありますし、スタンドからは斜め方向に遠ざかるような方向で飛越することになるため、スタンドから上手く見える席が殆どありません。おそらく中央のスタンドの高層階であれば見えるのかもしれませんが、ここからは諦めてモニターを見ることになります。

 で、ここがメインスタンド。中には入っていません。右手奥方向に行くとパドックです。左手の1階にある窓口みたいなのが馬券売り場。同じ並びにはお土産屋さんもあります。可愛らしいジンジャーブレッドがたくさん並んでいます。ジンジャーブレッドは"perník"と呼ばれて売っています。ぺるにーく、みたいな発音。Pardubiceの街はジンジャーブレッドが有名らしく、街のあちらこちらで手に入れることが出来ます。お値段も手ごろですし、お店によって味も違うので、色々と試してみるのもいいと思います。ただ、わりと割れやすいので持ち運びには注意した方がよさそうです。

 さっきの写真とは180度反対方向を向いた写真。正面の建物と、"F"と書かれたスタンドの間を通って、馬はコースに出て行きます。エリアFは見ての通り簡易なスタンドですが、ちょうどゴール直後に設置されていて、ゴール直後のわちゃわちゃしたところや、馬道を通って行き来する馬や関係者各位を見るにはよい場所らしく。

 ここは馬券売り場。日本ほど数は多くありません。対面販売みたいですね。概ね長蛇の列。土曜日の段階から日曜日の馬券は買えるらしいですが、わたしみたいにパドックを見て適当によさげな馬を選んでいた人には厳しいですね。同行人は並んで買っていましたが、普通にレースが始まっても買えていたようで、いまいち締め切りの時間がわかりません。

 さて、この日は全部で8レースが組まれています。全て障害競走、全てがPardubice競馬場のコースをフルに使った、"Steeplechase Cross Country"です。Pardubice競馬場は日本のように柵で囲まれたコースだけではなく、内側にはたくさんの障害が設置されており、この障害を越えながら縦横無尽に走るコースが設定されています。ヨーロッパで障害競走を実施する競馬場にはよくあるタイプですが、そのコースは複雑怪奇。慣れない騎手はよくコースを間違えてしまうようです。しかし、この"Steeplechase Cross Country"こそ、Pardubice競馬場に設置されている数々の障害を堪能できるレース。その中でも、Velká PardubickáはPardubice競馬場に存在する障害のポテンシャルをフルに生かしたレースなのです。

 早速第一レース。第一レースは”Cena pivovarů Staropramen - Memoriál Jana Kašpara”というもので、Steeplechase Cross Countryの第2カテゴリー戦ですね。距離は4400メートル、5歳限定戦。総賞金は12万コルナ(約56万円)。Steeplechase Cross Countryは第1~4カテゴリーに分かれており、第2カテゴリーは時々一線級の馬でも叩き台のレースとして使ってくるくらいの印象です。概ね、上のカテゴリーに行くほど使用する障害の難易度は上がると理解しておけばそんなに間違いではありません(年齢別レースなど、上のクラスでもさほど難易度の高い障害を使用しない場合もあります)。

 パドックにJosef Váňa調教師がいました。なにやらJan Kratochvíl騎手と話し込んでいます。Josef Váňa調教師はチェコ障害競馬の生きる伝説。Velká Pardubickáは騎手として8回、調教師としては10回勝利している人。つい数年前まで騎手としてもときどきレースで騎乗していましたが、最近はさすがに騎乗はしていないようで。

 レースが始まります。第3障害のMalý vodní příkop(Small Water Jump)を飛越した直後ですが、さすがに少々遠いですね。メインレースではこのあとPardubice競馬場における最難関障害、世界的に見ても最高難易度を誇る障害の1つであるVelký Taxisův příkopに向かいますが、年間でVelký Taxisův příkopを使用するのはVelká Pardubickáの一度だけ。このレースでは違う障害に向かいます。

 Poplerův skok(Timber Rail)を越えてこっちに来ます。

 スタンド前にあるDropを越えていきます。ちょうどスタンドに対して斜め方向に向かっていくような方向で飛越するので、この障害ではひときわ歓声も大きくなり、場内は盛り上がります。

 このレースではその後カーブして生垣障害を越えていきました。Velká Pardubickáでは返し馬でも使用された生垣障害です。

 勝利したMr SpexとAndrew Glassonbury騎手。エリアDの最前列であれば、400ミリレンズを持っていればこれくらい頑張ることが出来ます。立見席にお子様をおんぶした人がいるせいで、ときどき人間が映り込むのがしょんぼりですが。Mr Spexはこの世代相手であれば力量上位の馬。ドイツ産馬ですね。タイガーカフェ産駒のČmelákも出ていましたが、特に見せ場なく大敗。このクラスでは厳しい感もあります。


Pardubice Autumn Festival                             Pardubice Racecourse 8